【今村(いまむら)さんのプロフィール】
現在大学四年生。昨年は「ゲストハウスのひとを伝える「ひと本」を作る日本一周」というテーマのクラウドファンディングを実行し、成功させる。
今後も「ノマド女子大生」として発信し続け、新しい取り組みにも注力する。
これまでの私
ゲストハウスを発信していきたい想い
ーーそれではまず現在の活動内容を教えてください。
現在私はノマド女子大生として、ゲストハウスの振興活動をしています。
ブログやSNSで各地域のゲストハウスの情報を発信したり、昨年は「ゲストハウスの”ひと”を伝える「ひと本」を作る日本一周」というテーマでクラウドファンディングを実行させていただき、無事成功させることができました。
大学生という立場から、オンライン授業を駆使して単位を取りつつ、自分自身の実験として活動に取り組んでいます。今年は「学生が地方に出る」「地方のことを東京に伝える」という2つのテーマを掲げ、活動内容を同世代へ向けて発信していきたいと考えています。

ーーノマド女子大生として活動されるようになったきっかけを教えてください。
まず最初に私はそもそもゲストハウスが好きなこともあって、昨年の春ごろからゲストハウスの経営状態があまりよくないことを知ったときに、「ゲストハウスに何か働きかけができれば」と思い始めたのがきっかけです。昨年の春頃はコロナ禍ということもあって、私自身オンライン授業が始まり、ずっと家にいる状況が続いたんですね。そんな中でゲストハウスを盛り立てる方法を模索していくうちに、「オンライン宿泊」という新しい宿泊方法を開発された「WhyKumano」という和歌山のゲストハウスを見つけたんです。とても面白そうだったこともあって、一度オンライン宿泊を体験してみました。その体験がすごく有意義だったので、「オンライン宿泊で日本一周して素敵な宿の情報を発信しよう!」と思いたち、「おうちで日本一周」をテーマにSNSやブログを使って発信し始めました。その活動をしていく中で、各地のゲストハウスのオーナーさんとオンラインでコミュニケーションが取れることがわかってきて、「実際にお会いしたいな」と思うようになったんです。学校以外にコミュニティがあるのって素敵だなと感じていたこともあって、徐々にオフラインで日本一周したい気持ちが強くなり、「ゲストハウスのひとを伝える日本一周」というテーマでクラウドファンディング設立に至りました。その時は休学して日本一周してみようと思っていたのですが、「ワーケーション」が進んでいるという情報だったり、ゲストハウスにも設備が整ってきているのを感じて、「休学しないで日本一周出来るかも」「むしろ今しかできない」と当時思ったんです。私自身、まだ大学生という立場だったのもあって、「やってみて失敗したらまた次があるし、とりあえずやってみよう!」って。それで後期からはオンライン授業を履修しながら日本一周をしていました。
ーーなるほど。活動を始められた当初はゲストハウスの方々と繋がりはありましたか。
最初ゲストハウスに関する振興活動を始めて、オンライン宿泊日本一周ということを言い出した時に本当に人脈がなかったので、そこからのスタートでした。ただ偶然、友人にこの話をした時に「いろんな繋がりを持っている」という方を連れてきてくれたんです。その方がよく私が行っているゲストハウス「Little Japan」のスタッフされていた”大塚誠也さん”というフリーランスの方で、様々なお話しを聞いていただいたり、ご相談にも乗っていただきました。「オンライン宿泊で日本一周」の活動を続け行く中で、一つ褒めて頂いた点があって、「クラウドファンディングやその先のことも決まっていなかった点」と「こちらから必ず参加する際に参加料金をお支払いしていた点」なんですね。私はメディアを大きく持っているわけでもないですし、学生なので会社として動けるわけでもない。そのような状況で「とりあえず取材させてください!」というのもおかしな話だったので、そこは自分自身ゲストハウスを盛り上げていくためにも参加料金を渡していましたね。結果的にそういう風に自分自身活動していくことで、ゲストハウス界隈につながりの深い方に「じゃあ私の友人を紹介するよ。この県にはまだ行ってないんでしょ?」と言っていただける機会も増えましたし、繋がりも深くなりました。
休学せずにゲストハウス日本一周の旅へ

ーー様々な方の支えがあってオフラインでの日本一周も実現できたんですね。
そうですね。「何かしら発信していくと手伝ってくれる人っているんだな」というのを日本一周を通して凄く感じました。私自身ももともとノマドスタイルを選んでいたわけではないですし、普通に大学生だったので、本当に面白いことにだけ向き合っていたんです。前回のゲストハウスの活動ではそれを感じていて、オンラインであっても地方の方が情報発信の手伝いをしてくれる、オフラインであっても日本一周していたら地域の方が協力してくれる。私が本当に面白いと思ってしていた活動に色んな方々が協力してくれたんです。
ーー本当に温かいですね。自分一人だけの力ではないということですね。
本当に自分のやってみたいことや面白いことをただただ突き詰めるということだけで、様々な方がたくさん支えてくれました。それは特に地方の方から感じていて、オンラインで活動していた時に、ゲストハウスを訴求したい思いから東京の民放会社に取材の応募してみたんですよ。一通も受かりませんでした。でも同じような企画書を地方局の方に出してみたところ、とても喜んでいただいたんです。取材もとても前のめりに受けていただいて、取材を組んでくれるだけではなく、長く時間を取っていただいたりもしました。そういう小さい成功体験を積み重ねていくことで、私自身の自信になっていきますし、今後もこのスタイルで私は発信していこうと思っています。
日本一周活動までの苦労
単位をとりながら旅をする難しさ
ーー日本一周をするにあたって、単位は取り続けることができましたか。
私がオフラインで日本一周をしようと思ったのが去年の後期だったのですが、オンラインだけでの出席を許可してくださらない先生もいらっしゃるとわかっていました。なので、本当に必要単位をなるべく減らして、4授業だけ履修しましたね。その4授業の各先生方も、私の研究が学校外活動や地域活動に近い内容だったこともあって、事前に活動内容をお伝えした上で許可をいただきました。
今年も継続してオンライン授業を受けながら他拠点生活をしていますが、とても難しいですね。そもそも今年の大学の方針が対面授業ということもあって、授業がだいたい対面に戻ってしまっているので、複数の先生方に掛け合ってみてもオンラインでの配信は難しいと言われることが多かったです。
ただ、それに限っては今年は仕方ないかなと思います。私自身今年すぐに切り替えられるとは思っていませんし、自分の意見だけでオンラインとオフライン切り替えて欲しいわけではないので、今年に関しては出来るだけオンライン授業というものを取得して、その上で自身の学びを得られたということを前例として発信することで、「今後のきっかけの一つとしてなれればいいな」とそれぐらいの規模間で捉えています。
フルリモートよりもハイブリッドな働き方を

ーーリモートワークでのコミュニケーションは対面より難しいですか。
モノによりますね。電波問題とかもありますし、授業に関してオンラインからオフラインていう流れを経験した自分としては、コミュニティに関してはオンラインだけで完結してしまうのは不可能に近いなと私は思っています。人との関係の入り口をフラットにすることだったり、物事を便利にするためにオンラインがあると思っていますし、その関係の先にどこかで会える可能性を秘めていることに関しては私は価値があると思っています。しかし、「オンラインツアー」や「オンラインで旅行する」というイベントには私はあまり興味を持てないんですね。というのもその先に「人」がいないから。そのイベントの後に「今後会うことができる人がいます」だったり、「来年その人にホームステイ出来るんです」ということがあれば、とても魅力的だと思います。ですが、それは結構難しいと思っていて、私自身大学の授業に関してフルリモートを推進しようとは全く思っていませんし、一部リモート可が最適だと思っています。大学生活でのコミュニティはとても大事ですし、キャンパスライフを謳歌することは1,2年生にとって貴重な体験です。私自身も1,2年生の時に謳歌させてもらって、その上で地域活動をしているからこそうまく対応していると思っています。なのでオフラインとオンラインは完全に別軸だと思っていますし、ハイブリッドな働き方が一番だと私は思います。
学生の入り口となる施設
ーー日本一周各地を旅されていて、オンライン授業をしやすかった施設はありますか。
二つあります。仕事的な観点で行くと、先ほどお伝えさせていただきました東京の「Little Japan」さんですね。ワーケーションも推進されていますし、多拠点生活も実現できます。何より一番お世話になっていますし、そこのコミュニティも大事にしているので私はとても良いゲストハウスだと思っています。
学生という観点で行くと宮城県気仙沼にある「気仙沼ゲストハウス架け橋」さんですね。昨年、「オンライン疲れ」の学生のために連泊できるようなプランを提示していたこともあって、リモートの大学生が多いのはもちろん、スタッフの方にも大学生などの同世代が多いです。このゲストハウスを作られた方自身が大学生の時に休学して作り始められた場で、学生のコミュニティや学生の力を推していきたいと考えられている方なので、学生の入り口となれるようなゲストハウスだと思います。
大学生として地域活動を発信し続ける
好きなことをすれば、失敗しても成功しても糧になる
ーー今後もノマド女子大生としての活動を続けていきますか。
少なくとも今年の前期に関しては、自分の研究もかねて、オンライン授業を受けながら地域活動を続けていきたいと思います。今年のテーマは冒頭でもお話ししましたが「学生が地方に出る」ということと「地方のことを東京に伝える」ことなので、私の活動を通して様々な方々に認知できればいいなと思っています。各地域の人が私はとても好きなので、地域の人を通じて出会った「ごはん」であったり、思い出だったり、植物であったり、様々なことや物のなかで、今ある私が素敵だなと思ったものを東京に持ってきて自分の手で発信することで、より多くの人に知っていただきたいなと思っています。地方に行きたいだったり、地域の人たちに会いたいだったり、場所は違うけど同じ仕事を持った地域の人と関わりたいという方がいらっしゃると思うんですよね。
なので、私は今後そのような活動をしていければなと思います。
ーー今後は新しい取組みもされていくんですね。
今年はしっかりと自分の力で活動をマネタイズしていきたいと考えています。
昨年度は、クラウドファンディングで本当にたくさんの方々に支援していただきました。
そのリターンとして「ひと本」というゲストハウスのオーナーさん一人一人の取材記録の本を執筆させていただいて、それを今後は販売していこうと思っています。当初は様々な方々に応援の意味で投資をしていただいていましたが、
今後は何か自分にできることの価値をお金に変える事ができるくらいに成長したいですし、「ひと本」の販売からよりゲストハウスのことも広がるよう発信していきたいと思います。
とはいえ、私の場合は学生が本業なので、勉強をメインに起きつつ、地域活動、それにおける生活費や交通費などは自分で賄える程度のお仕事をしていきたいなと思っています。まだまだ勉強中の身ということもあり、活動自体は赤字なので、教えていただける方がいらっしゃれば、随時募集しています!是非よろしくお願いします(笑)

ーー大学生の方へ、ノマドワーカーとしての働き方を伝える一言をお願いします。
「とりあえずやってみたら」という思いはありますね。日本一周したい、ノマドワーカーとして仕事をしたい、だからライティングやコーディングを勉強しました、という方は全国にたくさんいると思います。大学生でノマドワーカーでクラウドファンディングして、「うわ、これはハードル高いな」って思われてしまったり、勉強しないとノマドワーカーは難しいのかなと考える方も多いと思うのですが、私自身行き当たりばったりなところもあって、現状も人脈はあるけどスキルは皆無の状態で動いています。現在気仙沼に住んでいてもそうですし、最初はゲストハウスから始まって、ゲストハウスの繋がりで出会った方に私が直談判させていただいて交渉したところ、「居候させてもらえる家探すよ」と言っていただいて。居候させてもらって、お仕事もたまに頂けて。何が伝えたいかというと「ハードルってほんとに低いよ」と伝えたいです。お金がなくても旅先で稼げばいいし、スキルは無くてもできることはあります。今仮に自分を縛るようなもの無くせる時期なのであれば、何も考えずに自分の好きなことをやってみれば成功なり失敗なり必ず自分の「糧」になるので、「ノマドにスキルはいらないよ」ということを伝えたいですね。好きじゃないスキルを身に着けて、自由だけど楽しくない無理をした働き方は自由であることが強みの学生時代に歩まなくても良いのでは、と思います。